賑やかな 煙草の匂いである

骨に染みて うつしみは夜を走る

あなたの血の上を歩くことが
あなたを愛していることだから

泳ぐ指先が 小節を潜る毎に
衒わぬ少女の歌声が 微笑の影にかえっていきます

あなたたちはひとつの焔であります
琥珀の空であります
鯨の道であります


海鳴りはまだ歩き続けます
その歩みの均衡が
満たされた寂寥が
茫々と 滴る 
    うごかぬ水面など ない

存在への遡行が
笑いとの波間にすべりこみ
その一瞬が絶対で ぼくはやっぱり満ちてしまった

しかし かなしいくらいうれしかった