ふと、物思いに耽ってしまい
周りの風景も、自分が何をしているかも、どんどん遠ざかっていき

森閑とした心から
映し出される無声映画
色褪せボヤけたフィルム
所々見えないが、見えずとも伝わってくる






記憶とは何だろう
思えば思うほど、明瞭になるというよりは
思うほどに、定かじゃなくなり
断片的な情景に、奥行きをつけるには
多分に感情や、懐かしむ郷愁、ノスタルジーが重なって
フィルター越しに彩られた世界は
靄がかかった夢のように、そう、まるで夢のようになる












最近の自分は
少し変である

記憶を辿るのは昔からの癖だけど
そしてそこから夢想してしまうのも、昔から直らない


しかし追って行った先の光景に
自分と並行して歩くもう1人の自分の姿に気づく

僕がそいつを見れば
そいつも僕を見る


そいつは限りなく自分と同じ行動をとっているようで
所々違う動きをしていることに気づき始める
ふと見ると、全然違う場所へと歩き出したりする


何が言いたいのか
記憶を巡り、夢の中を駆けていく
記憶は過去だが現在とも未来とも繋がっていて、すべてが並行して存在する


そうすると
君は生まれる前どこにいたのか
そんな問いにも、僕はここに居たと思える


僕にとっての過去と現在と未来は
同時に始まっていて
僕が生まれる前の世界も
平行して見える世界の一つでしかなく
僕はここに立っている実感のもとに、そこの時間軸に存在する







何が言いたいのか
だんだん自分の生きる次元が変わってきている
いつまでも夢の中のように
僕の現在は、まるで過去や未来と同じなのだ

この高揚は、怖い
恐ろしいほど幻想的だ
しかし魅惑的で、甘美なものだ



しかし夢うつつでは生きてはいけなく
夢の中で生きることは悲惨な運命を辿りそうだ


何処かで
確かに自分が現在にいることを証明しなくては

それは自分に向けてと
大切な人に向けるべきだ








よし
眠ろう


おやすみなさい