喜びが満ち満ちて
感謝の念ばかりである


皆優しく、心穏やかで
話しかければ、笑顔が絶えない


あなたは心から
笑ってくれただろうか
申し訳ないが
ぼくには大きな喜びであった
ぼくは心から笑った

あなたがどう考えていようと
ぼくの中ではじまってしまった




永遠はやってきて
ぼくをすっかり捉えてしまう

最初と最後はくっついていて
何度も繰り返す







あなたは失うということを 知っている
なくなってしまったことに 耳を澄ましている

だから、得たものも よくわかる人だ
あなたから出ていき、またあなたに入っていくものを
あなたは思慮深く感じとり、愛撫する
その刹那の美しさ あなたの物憂げな目
口元からは静かで 艶やかな 息づかいが漏れ
あなたを彩っている





あなたの細く長い指先を2人で見つめ
手のひらを合わせた瞬間
ぼくはあなたが帰ってきたと思った
あなたはぼくの中に居たのだ
はじめから居たのだ

手のひらから伝播するのは深く根ざした慈しみだ
ぼくはすべて理解し、あなたもきっとわかってくれたんじゃないかと思い込む



あなたの血を感じ、あなたの静謐な心の永遠の波を感じた
ほらまた波を打つ
あなたの柔らかな肌が、綻び 引き締まり 歌を歌う




あなたは優しくぼくに幾つかの話をしてくれた
あなたの大事な一部分を ぼくは昨日感じとった
またぼくはあなたに いくつかの問いを投げ
あなたは動き立つ身体の底に 魂を燻らせて
この世のすべてを打ち明けるように
ぼくの問いに応えるのだ

その喜びを どう言い得たらいいのだ





白皙の肌から またつめたい慈しみを感じとる
手のひらもまたつめたく あなたを彩る
色彩はあなたに影を落としていく
その影だけで あなたの生命は大きな救いとなって 魂と重なり合うのだろう

あなたを飛び越えるあなたの魂
しかし、あなたは静かに見つめている
星を見つめ 宇宙を感じている
あなたは万象の知である
コスモスはあなたを縁どり あなたを燃やし あなたの周りをまわっている

あなたは螺旋階段を無邪気に駆け上り
まあるい魂の彷徨を ぼくに話しかけるのだ

それがあまりに絶対的で
ぼくは自分の戸惑いも呑み込む大きな渦に
途中から諦め立ち尽くすのだ

うつくしい景色なのです









大切な友人達に混じり
あなたという人はよく響いていた
その鳴りの美しさに うっとりとした


古本屋の本棚をあなたと見つめる
ぼくの口数がいつもより多くなり、あなたはそれに耳を澄ましてくれる
あなたが何もかも深く捉えてくれることを ぼくはわかっている
あなたが手に取った本が 間違いなくあなたを彩ることを確信している



この確信は
ただ生きるだけじゃ打ち明けてくれない
薄明や しのびよる夜を感じて
星の匂いを嗅ぎ 銀色の月明かりを浴びなきゃいけない

そうすることを繰り返し
失うことをしることで
宇宙はぼくに打ち明けてくれる

少なくともぼくはそう感じている
確信など あとのものに必要はない


あなたの静謐な息づかいもまた
失っていくものだが
月明かりのように永遠だ
銀色の海原だ
海鳴りの歩みだ
空に満ちて零れていく
滋味深い溶媒だ
喉元に落ちて
つめたくあまく しんしんと
つめたくあまく しんしんと